転職サイト・エージェントの連絡が不安な人へ
登録すると電話・メール・LINEが多く来るのでは、という不安を分解。国の運営要領で決まっていること、決まっていないこと、登録の前に確認できることを整理
仕事の合間に、転職サイトの登録画面を開いてみる。けれど、電話番号の欄で手が止まる。「登録したら、勤務中にも電話が来るのでは」「断っても、メールやLINEが毎日届くのでは」。そう考えると、情報を集めるだけのつもりが、怖くなってしまう。この記事は、そんな状況を想定して書いています。
(これは、読者の状況を想定した架空の場面です。実在の誰かの体験ではありません。)
その不安は、変な心配ではありません。連絡先は、あなたの生活に直接つながる情報です。気になるのは当然ですし、登録の前に確かめておくのは、慎重な人のやり方です。
この記事では、国の資料に書かれている決まりごとと、書かれていない部分を分けて説明します。そのうえで、登録の前にあなたが確認できることをまとめます。特定のサービスの評価や、登録のすすめは書きません。法律の判断も、この記事ではできません。個別のトラブルは、末尾の相談先に聞いてください。
先に押さえる3つのこと
- 連絡の「回数」や「時間帯」の上限を定めた記載は、今回確認した国の運営要領には見つかりませんでした。[S66]決まりが無いのであれば、登録の前に、自分から聞いておく必要があります。
- 個人情報の使い道は、事業者が具体的に示す決まりです。 「職業紹介のため」と書くだけでは足りない、とされています。メールマガジンの配信なども、目的として示す例に挙がっています。[S66]
- 求職者から手数料を取れる場面は、限られています。 求職者手数料の対象に挙がる職業に、看護師は含まれていません。[S65] 有料職業紹介事業者については、求職者に費用が発生するのでは、という心配は、手数料の面ではまず外せます。
不安の中身を、分けてみる
「連絡が来るのが不安」と言っても、中身はいくつかに分かれます。分けると、確認する先が見えてきます。
電話が来るのが不安
勤務中や、休みの日の電話が気になる人は多いと思います。ここで押さえたいのは、電話は、紹介を受ける流れの中で最初の接触になりやすい、という点です。
運営要領は、紹介事業者が、求職者と最初に接触する時点までに、仕事の内容と労働条件を明示するのが原則だとしています。「最初に接触する時点」には、面接、メール、電話などで意思疎通が始まる時点が含まれます。[S66] 電話で話す前に、条件が見える状態であるべき、という考え方です。
一方、電話の回数や時間帯は、今回確認した範囲に決まりが見つかりません。[S66] 「平日の昼は出られない」「連絡はメールで」といった希望は、登録の画面や最初の面談で、自分から伝えるものになります。
メールやLINEが多く来るのが不安
連絡の手段には、メール、電話、LINEなどのメッセージがあります。運営要領には、労働条件などを電子メール等で受け取る場合の定めがあります。電子メールなどでの明示は、受け取る側が希望した場合に限られます。希望するときは、その旨と、希望する方式(電子メール、SNSのメッセージなど)を伝える仕組みです。[S66]
ここから分かるのは、少なくとも労働条件の受け取りについては、手段を選ぶ余地が制度上あるということです。ただし、これは労働条件の明示についての定めです。日々の連絡全般の手段を選べる、という意味ではありません。そこは、事業者ごとに違うと考えて、確かめてください。
しつこく勧められるのが不安
「断りにくい雰囲気になったら」という不安です。運営要領には、紹介事業者は、求職者の意思に反して特定の職業を強制するような接し方をしない、と書かれています。[S66] また、求職者が苦情を申し出たときのために、事業者は、窓口と対応方法をあらかじめ明確にして、記録し、結果を報告することとされています。[S66]
もう一つ、制度が置いている線があります。就職を決めた後の連絡についてです。紹介で就職した人(期間の定めのない契約の場合)に対して、事業者は、就職した日から2年間、転職の勧奨をしてはならないとされています。[S66] 決めたあとに、次の転職を勧められ続ける、という形は想定されていません。
お祝い金についても、決まりがあります。求職の申込みを勧める際に、お祝い金などの名目で、社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭等を提供してはならない、とされています。[S66]
個人情報の扱いが不安
登録で書く情報は、名前、連絡先、経歴、希望条件など、多岐にわたります。ここは、決まりが比較的細かい部分です。[S66]
- 事業者は、個人情報を集めるとき、どう保管し、どう使うかを、求職者が一般的に想定できる程度に具体的に示すことになっています。「職業紹介のために使います」だけでは足りません。例として、応募先への提供、求人情報のメールマガジン、開示を許諾した提携先への提供、が挙がっています。
- 応募先(求人者)に、あなたの個人データを見せる行為は、第三者への提供にあたります。求職者から、あらかじめ同意を得ることが必要です。
- 同意を求めるときは、同意する内容を、できるだけ具体的に示します。業務に必要な範囲を超える利用への同意を、紹介を受ける条件にしてはなりません。たとえば、紹介と関係のない商品販売に使うことに同意しないとサービスを受けられない、という形です。
- 利用規約を見せて、サービスを使い始めるだけでは、同意が明確に示されたとまではいえない、とされています。ボタンのクリックなどで同意を確認する方法は認められています。
- 業務提携先に求職の情報を提供するときは、あらかじめ提携の内容を示し、同意した場合に限るとされています。提携先ごとに、同意するかを選べる形が想定されています。一度に確認する提携先は、当面10以内です。
- 事業者は、個人情報の管理のためにとっている措置を、求職者から求められたら説明します。開示や訂正(削除を含む)の求めの取扱いも、規程に定めます。求めたことを理由に、不利益な扱いをしてはなりません。
個人情報保護法そのものも、関わります。取り扱う個人情報が5,000人分以下の事業者にも、個人情報保護法は適用されます。[S67]
勤務先に知られないか不安
在職中の人にとって、いちばん大きな不安かもしれません。この点は、はっきり書けることが多くありません。
分かっているのは、次の2点です。
一方、現在の勤務先への連絡の扱いを直接定めた記載は、今回確認した資料には見つかりませんでした。そのため、「現職には絶対に伝わらない」とは書けません。在職中であること、現職の関係者に知られたくないことは、登録の最初に、自分から伝えてください。応募先ごとに、あなたの情報を見せてよいかを、確認してもらう形がより安心です。これは、国の資料の記載ではなく、私たちの読み方です。
「紹介」と「掲載」で、連絡の性質が違います
登録するサービスの種類によっても、連絡のされ方は変わります。運営要領は、事業を大きく分けています。
- 職業紹介事業:求人と求職者の間に入って、あっせんをする事業です。対価を徴収して行う有料職業紹介は許可制です。対価を受けない無料職業紹介もあります。[S64]
- 募集情報等提供事業:求人の情報を集めて載せる、いわゆる掲載型の事業です。[S64]
ただし、掲載型を名乗っていても、実態があっせんにあたる場合は、職業紹介の許可が必要とされています。たとえば、情報を選別して提供したり、やり取りの中身を加工して中継したりする場合です。[S64] 名前だけでは、種類が分からないことがあります。
どちらのサービスなのかは、許可番号の有無で調べられます。許可の有無は、都道府県労働局や、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で確認できるとされています。[S64] 有料職業紹介事業者は、このサイトに、就職者の数、離職した人の数、手数料や返戻金の情報を提供する決まりもあります。[S66]
公的な窓口も選べます。都道府県ナースセンターは、手数料などの対価を受けない無料職業紹介を行っています。S51] 民間と公的の違いは、[近隣で、望む働き方ができる職場を探すにはで整理しています。
登録の前に、確認できること
不安を小さくする一番の方法は、登録の前に、ページで確認できることを確認することです。次の項目のうち、2・5・6は、運営要領が事業者に示すよう求めている事項(個人情報の取扱い、苦情の処理、手数料)と重なります。[S66]
- 許可番号が表示されているか。 紹介型であれば、許可番号があります。[S64]
- 個人情報の使い道が、具体的に書かれているか。 「メールマガジンの配信」「提携先への提供」のような項目があるか。あれば、同意するかを選べるか。
- 連絡の手段と、希望の伝え方。 メールか、電話か、メッセージか。希望を登録時に書く欄があるか。
- 連絡を止める方法。 退会の手順、メールの配信停止、個人情報の削除を求める窓口があるか。
- 苦情の窓口。 事業者が、窓口と対応方法を決めていることになっています。[S66]
- 費用。 求職者の負担の有無は、事業者が求職者に示す事項に含まれます。[S66]
登録の後で、最初に伝えておくとよいことも、挙げます。
- 連絡してよい時間帯と、電話に出られない時間帯。
- 連絡の手段。「まずはメールで」と書いておく。
- 在職中であること。現職には知られたくないこと。
- いまは情報収集の段階で、すぐに転職する予定ではないこと。
最後の項目は、正直に伝えて構いません。求人の条件は、紹介を受ける前にも確認できます。看護師の求人票で確認したい条件も参考にしてください。
連絡が止まらないときの、動き方も挙げます。個人情報保護委員会のガイドラインには、利用停止等を求められる場合の事例があります。ダイレクトメールや電話勧誘の停止を求める意思を示したのに繰り返されている場合は、本人が利用停止等を請求することが認められると考えられる事例として、挙がっています。[S68] ただし、これは例であって、個別の請求が認められるかは、事案ごとに判断されます。まず、事業者の窓口に、連絡の停止と、情報の削除を、文面で伝えるのが現実的です。
ここからは、私たちの読み方
ここからは、国の資料を踏まえた私たちの読み方です。解釈であって、出典のある事実ではありません。個別のサービスの連絡の実態は調べていないため、あなたが使うサービスには当てはまらないこともあります。
連絡への不安は、「何が来るか分からない」ところから大きくなります。分かる部分と、分からない部分を分けると、小さくできます。
読み方1 決まっていることと、決まっていないことの線。 国の運営要領には、個人情報の使い道の示し方、同意の取り方、提携先への提供、手数料、転職勧奨の禁止など、細かい決まりがあります。[S66][S65] 一方、連絡の回数や時間帯は、今回確認した範囲では見つかりません。[S66] 私たちは、これを「中身の扱いは決まっていて、連絡の頻度は、事業者の運用と本人の希望で決まる」ことだと読みます。だから、不安を減らす手段は、制度に期待するより、登録の前後に自分の希望を伝えることです。
読み方2 トレードオフ。 連絡を絞ると、不安は小さくなります。一方で、情報が届きにくくなり、担当者がこちらの希望を細かく聞けなくなる場合があります。担当者を通して、公開求人票に載らない内訳を聞きたい人は、連絡の手段と時間帯だけを決めて、連絡そのものは受け取るほうが合うと考えます。まず情報収集だけをしたい人は、連絡が少ない窓口を先に使う、という選び方もできます。
私たちは、紹介側の収入の仕組みも、連絡の多さに影響すると推測しています。上限制手数料の場合、手数料は、原則として、就職後に賃金が支払われた日以降に、求人者から徴収します。[S65] 紹介が決まるまでは収入にならない仕組みです。そのため、連絡が積極的になる事業者もある、というのが私たちの見立てです。これは推測です。事業者の実態を調べたものではありません。
読み方3 条件別の見立て(もしAなら、Bを確かめる)。
- 勤務中に電話に出られないなら。 登録時に「連絡はメール希望」と書く欄があるかを見る。無ければ、最初の面談で伝える。
- 現職に知られたくないなら。 応募先に情報を見せる前に、確認してもらう約束を取る。同意が必要な場面です。[S66]
- 複数のサービスに登録するなら。 個人情報の使い道と、提携先への提供の同意を、サービスごとに見る。提携先への提供は、同意した場合に限られます。[S66]
- まだ迷っているなら。 先に、公的な窓口(ナースセンター、ハローワーク)の説明を読む。登録の前に、条件の整理を済ませておく(働き方ナビ)。
見立ての根拠と、変わる条件。 根拠は、厚生労働省の業務運営要領[S64][S65][S66][S67]と、個人情報保護委員会のガイドライン[S68]の記載です。「連絡の回数や時間帯の記載が見つからない」は、要領の本文を検索した結果で、他の通達や各社の規約に定めがある可能性は否定できません。次のときは、見立てが変わります。
- 運営要領や関連する法令が改正されたとき(この記事は、令和8年10月1日から適用される版を確認しています)。
- 連絡の頻度や手段について、国が基準を示したとき。
- あなたが使うサービスの規約やプライバシーポリシーに、個別の定めがあるとき(そちらを優先してください)。
よくある疑問
登録したら、必ず電話が来ますか。
必ず来る、とも、来ない、とも言えません。電話の回数や時間帯について、今回確認した国の運営要領に決まりは見つかりませんでした。[S66] 連絡の手段は、サービスごとに違います。登録の前に、手段を選べるか、希望を書く欄があるかを見てください。
求職者が、費用を払うことはありますか。
有料職業紹介事業者が求職者から受け取れる手数料は、法律で認められたものに限られ、それ以外は、いかなる名義でも受け取れません。求職者手数料の対象として挙がっているのは、芸能家やモデル、年収700万円を超える一部の職業で、看護師は含まれていません。[S65] 契約の前に、求職者に示される手数料の説明も確認してください。[S66]
同意しないと、サービスを使えませんか。
業務の目的の達成に必要な範囲を超える利用への同意を、職業紹介を受ける条件にしてはならないとされています。[S66] 必要な範囲の同意は、紹介を受けるうえで求められます。「メールマガジンの配信」や「提携先への提供」など、範囲を超えるものに同意が必要かは、サービスの画面で確認してください。
退会したら、個人情報は消えますか。
事業者は、収集目的に照らして保管の必要がなくなった個人情報を、破棄または削除する措置をとることとされています。[S66] 本人が削除を含む訂正を求めたときの扱いは、事業者の規程に定めることになっています。[S66] 実際に、いつ、どの範囲が消えるかは、事業者の規程によります。退会のときに、削除を求める旨を文面で伝えておくと、確認が取りやすくなります。
公的なナースセンターなら、連絡は少ないですか。
ナースセンターは、手数料などの対価を受けない無料職業紹介を行っています。[S51] 連絡の頻度や手段について、今回確認した資料には記載がなく、少ないかどうかは言えません。お住まいの都道府県のナースセンターに、直接確認してください。
連絡が止まらないとき、どこに相談できますか。
まず、事業者の苦情の窓口に伝えます。事業者は、窓口と対応方法を決めて、苦情を記録し、結果を報告することとされています。[S66] それでも解決しないときは、都道府県労働局など、職業紹介事業を管轄する行政機関に相談することが考えられます。個別の法的な判断は、この記事ではできません。
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